ハルディン
   
   
第1回  ヘスタクーム Hestercomble
 
これから何回かに分けてイギリスの庭園の紹介をしたいと思います。ヒースロー空港からレンタカーを借り8日間で15以上の庭園めぐりをしました。泊まる宿も決めずに気ままな、少し無謀な旅でしたが、得るところはたくさんありました。植物の使い方、これは大変参考になりました。ほんの一部ですが、ぜひ紹介したいと思います。

第1回目は、イングランド南西部のヘスタクーム(Hestercomble)をご案内いたします。 ポーツマン家の依頼を受け1906年から4年をかけて造った庭です。造園家ガートルード・ジーキルと建築家エドウィン・ラッチェンスの共同作品の傑作と言われています。この2人が手がけた庭は112もあります。「ガートル・ジーキルを知らずに英国庭園を語れない」と言われるほど、彼女が近代造園に与えた影響は大きいと言われています。特に、植栽の色彩感覚は今なお造園家の手本となっています。庭は一連の絵画、綿密な植栽計画が必要です。色のグラデーション、同系色と反対色の組み合わせ、めいっぱい植え込まれた宿根草のボーダーの手法は彼女の特徴を良く表しています。

広さ2エーカーのこの庭は2度の大戦で荒れましたが、73年に修復が始まり現在は、サマセット州の消防本部が管理しています。 メインの正方形のサンクンガーデン、ダッチガーデン、石と水と植物、建築家と造園家の力のぶつかり合いが見ものです。 と以上のような説明が本に書かれている庭です。 画像を縮小していますので、きれいな庭をハッキリとお見せ出来ないのが残念です。
  消防本部で管理しているだけあって、年代物の消防車が展示してあります。
     
 
     
左: 中央の運河の水路には、水生植物が植えられており、左右対称にデザインされています。絵になる構図でしたので思わずシャッターを切りました。

右:
 石壁を背にエリンジュームが咲き乱れています。こんなに鮮やかな色はきっと日本ではむずかしいでしょうね。上に咲いているのは、エリゲロン。エリゲロン・カービンスキアヌス(erigeron karvinskianus)です。
     
この庭は、たくさんのエリゲロンが使われていました。とても丈夫なので日本でも、もっと使ってもよいと思います。
     
 
     
左: 石の壁が回りを囲み階段を下りて正方形のサンクンガーデン(沈床花壇)、プラットと呼んでいます。中央にオーナメントを置き、4ヶの花壇が対象に作られています。目立った植物は、ヤクシマススキ類(miscanthus sinensis gracilimus)とヒマラヤユキノシタ類(bergenia*schmidtii)、フロミス(phlomis fruticosa)です。 この花壇の手法は、最近日本でもよく見受けられます。

右: 石の壁の上のほうに植えられているのは、エリゲロン、たくさんあるシルバーリーフの丸いのはサントリナ、とても見事です。日本では、蒸れやすくこんなに大きくきれいには出来ません。イギリスならではですね。上に咲いている鮮やかな紫色は、ラベンダーのヒデコート。これもすばらしい発色です。

     
  各場所に壺を配置し回りにシルバーリーフのスタキス(ラムズイヤーシルバーカーペット)で縁取りをしています。クラシックな雰囲気を漂わせています。
     
  真中の照り葉のシルバーリーフは、コンボルブルスクネオルム、ブッシュ状に繁っています。高さ1メートル位に成長しています。通常これほど大きくなるのは、かなり期間がかかります。夏も強く、冬も−5℃位なら常緑で越冬します。コンテナガーデンの寄せ植えに非常に使い勝手のよい植物です。繁殖に時間がかかるので日本では、あまり出回っていないのが残念ですが・・・。
     
 
     
左: 柱は石を積み上げて作られており、上の部分は木で作られたパーゴラ、バラは、ランブラーローズです。とてもダイナミックで力強い感じです。

右: 右に廻りこんで横から見たところ。バラの絡まるパーゴラは70メートルもあり、共同設計者の名の残るラッチェンス・スタイルで、薄い石を積み上げた柱に、オークの角材を渡したものだそうです。
     
 
     

次回は、ローズムーアを紹介します。一番のお気に入りの庭です。